NEXT REAL ep.0005 S’NEXT vol.01 没入感への挑戦

About S'NEXT

通勤途中に周りを見渡すと、どの耳にも、イヤホン・ヘッドホン。こんな光景が当たり前になって、何年経つのでしょう。数年前は白いApple社純正が目立っていましたが、今はいろんなイヤホン・ヘッドホンをつけるように。そんな中、超高額ながらも、抜群の音質、そして唯一無二の魅力で、確固たる地位を築いたメーカーS’NEXT。そのクリエイションの舞台裏を、代表の細尾満さん、共同経営者の菊地信さんに聞きました。

川崎市にあるfinalショールームには全製品が並ぶ
静かな環境でじっくり視聴できる

まず、S’NEXTそして自社ブランドのfinalについて教えてください。

私たちS’NEXT(エスネクスト)は、ハイエンドオーディオ用のイヤホン、ヘッドホンブランドfinalの要素技術開発・商品企画・デザイン・設計・製造・販売まで、全て自社で行なっています。設立は2007年。米国の大手コネクターメーカーMolexの子会社として生まれ、2014年に現経営陣がMBOによって独立。今は第2の創業と言える時期です。
finalのイヤホン、ヘッドホンは、機械式時計のような愛着を持っていつまでも使い続けられ、アンティークとして価値を持ち続けるものにしてゆきたいと考えています。

finalの商品には45万円の商品もあるそうですが、高額ヘッドホンが何故今、売れているのでしょう?

iPod、iPhoneの登場は大きかったですね。誰もがイヤホン、ヘッドフォンを手に取るようになって、市場規模がグーンと広くなりました。そこにBeats by Dr.Dre のような、高価格帯の製品が登場して、ああ、このぐらいの価格設定でもいいんだと、気づきをもらいましたね。

マニアに刺さるものを作れ

市場が広くなると、様々なニーズが生まれてますね。

そうですね。昔は、音響マニアにとって、ヘッドホンはあくまでアクセサリ。本気で聴くものではなかった。ですが、市場が広くなったことで、ヘッドホンでもレベルの高い製品を求める層が着実に増えました。それで、音響部屋を作るようなマニアのみなさん、音にこだわりをもつ人達が満足できるレベルの製品であれば、支持されるようになったのではないでしょうか。

代表の細尾さん

富裕層向けではない

高額でも富裕層のための製品ではないと。

まさにそうです。音響マニア、そして感度の高い方に購入していただいていますね。

ハイエンドモデル市場で、finalが目指しているのはどんな製品なのでしょう

アンティークとなるまで使い続けてもらえるような製品。それを目指しています。そのためには、作り手も面白い。そう思えるものじゃないといけません。それで今、取り組んでいるのは臨場感。その先にある、圧倒的な”没入感”の体験できる製品です。

圧倒的な没入感を

没入感をどのように実現するのでしょうか?

基本的には物理学に基づいたエンジニアリングで没入感に挑んでいます。一音一音の再現性を極めて高くし、アーティストの息遣いや、指のこすれる音まで再現して、その場の空気感や情熱まで伝わるようにしたいです。

物理学。難しそうです。。。

1つは周波数特性などのヘッドフォンの物理特性。もう1つは、人体形態特性があります。

ますます、難しい話になってきました。あまり聞きなれない、人体形態特性について教えてください。

私たちの外耳道の形って、一人一人異なります。すると、そこを通って鼓膜に着く頃には全く違う波形、音響特性を持ってしまう。
それで、人体の形態影響を補正するアプローチが必要になります。また、顔や頭部の形状などに反射して変化する音の補正も行います。

物理学X心理学

なるほど。そう言われてみればそんな気がしてきました。(笑) 他にも意識していることはありますか?

もちろん、ヘッドフォンの物理特性をとにかく磨くことが重要ですが、心理学的なアプローチも併用しています。

心理学ですか。意外です。

人によって心地よいとか、リアルだ。と思う音には違いがあります。それって実は、これまでの人生で聞いてきた”音楽”の経験の違いが元になっている。生のコンサートに行ったことがあるか、否か。どんなデバイスで、音楽を聞いてきたか。そんな、音楽経験の違いが、感覚の違いを作る。その違いを適用するため、心理学をベースにして、ソフトウェアとDSPによる補正を施します。

それは面白い。そういったアプローチの結晶がこちらの試作機(D8000)ですね

そうです。AFDS:エアフィルムダンピングシステム搭載、平面磁界型ヘッドホンです。平面磁界型ヘッドホンは中高域の繊細さは極めて優れているものの、振幅が大きくなる低域では再現性が十分でないという問題がありましたが、AFDSによって克服し、開放感と自然な低音を両立することができました。また、一人一人に合わせた調整が可能になっています。

聴いてみていいですか

もちろん!

これはすごい!
目を瞑ると、目の前に楽器や歌手がいるような感覚になりますね。
しかも、それぞれとの距離感も感じます。

圧倒的ライブ感!

製品化されたD8000

NEXT REAL ep0005 S’NEXT vol1 没入感への挑戦 では、ハイエンドモデルが今、受け入れられている理由。finalが目指す製品。没入感を実現するプロセスについてお聞きしました。Vol2では、S’NEXTの音の作り方にフォーカスします。
NEXT REAL ep.0005 S’NEXT vol.02 僕らの音のつくりかた>>>

S’NEXT株式会社

住所:〒212-0057 神奈川県川崎市幸区北加瀬3-12-7

設立:2007年11月27日

代表:細尾 満

事業内容:オーディオ機器の開発、製造、販売

 

 

snext-final.com/

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