NEXT REAL ep.0004 NEW LIGHT POTTERYVol.4 灯りをつくるということ

あくまでプランナーなんです

ハイペースでラインナップが増えているNewLightPotteryの
プロダクトを作る、インスピレーションはどこからくるのでしょう。

いわゆる、クリエイターやデザイナーさんだと、何かあるのかもしれないですけど。僕はプランナーなので、そういうカッコいいのは無いんです。(笑) 様々なプロジェクトに関わる中で、こんな灯り。照明が欲しいな。と図面に起こすことが多いです。

Photo by HIROKI KAWATA

プランナーとしての仕事が、プロダクトのインスピレーションに繋がるんですね。
プランナーがつくる照明ならではの特徴もあるようですが。

価格面ですね。プランナーとしての経験から、1つあたり、このぐらいの価格だと嬉しいな。というのがあります。質感と生産コストを両立させるために、協力工場に技術的な観点から、色々とアイディアをもらってます。

例えば、シェード付き照明のラインナップを考えていた時に、既存のプロダクトに切り込みを入れてシェードをジョイントするのはどうか?と。同じパーツを使って、バリエーションを増やしていけるので、生産コストを抑えられました。
パンは同じで、中身を変えるみたいな。マクドナルド方式ですわ。(笑)

面白い素材との出会いがプロダクト繋がることもあるようですね

これなんかは大阪の工場で昔、何かのパーツとして使われていた型を元に、デザインしました。工場で発見して、このなんとも言えないフォルムを生かして、照明にしたかった。こっちのシェードは、大理石を使ってるんですけど、元々は廃材なんです。バブル期に使われた素材で、使われていたお店が無くなる時に譲ってもらいました。当時は著名な建築家しか使えなかった貴重な素材です。そのどこか懐かしい色味を生かしたい。と思いシェードにしてます。

Photo by HIROKI KAWATA

Bridle
ヘラ絞りで成形したアルミのシェードに、牛革のハンドルをリベット打ちした照明

Bullet flat shadeの大理石バージョン

塩焼きのように、素材を生かしたい

なぜ、素材を生かすことを大切にしておられるのでしょう?

料理で言うなら、釣ってきた魚を塩で焼くだけみたいな。塩焼きって、塩振って焼くだけで美味くするわけで。そういう意味では、究極の料理だなと思うところがあって。そんな、素材を生かしきった、ものづくりを意識してます。

さて、NewLightPotteryのプロダクトとして目指すところは?

やはり調和ですね。なので、こんなヒトに使って欲しい。こんな空間で使って欲しい。ということは考えない。むしろ、様々な空間。プロジェクトに”高いレベルで調和する”プロダクトとして選んでいただければ嬉しいです。

メーカーの仕事をしてよかった

近頃、メーカーとしての喜びを感じる出来事があったようですが、教えていただけますか。

この頃、自分が知らないところ(プロジェクトで関与していない場所)にも製品が使われ始めてて、ほんとこの仕事しててよかったと思いますね。あっちでも使われていたよ。と教えてもらったりして。また、DEAN&DELUCA CAFE、TRUNK(HOTEL) 、Mikkeler Tokyoなど、場所を選ばず選んでもらえて嬉しいです。製品がちゃんと一人立ちしてくれてる姿を見るようで。

あと、この頃はインスタで見ました!との問い合わせが増えてます。インスタグラマーさんがアップしてたの見ました的な。

SNSによって作り手と使い手の距離感が縮まってる時代ならではですね。
爆発的に広まる予感がしますが、拡販は考えられていないとか?

店舗販売は、現在HIKEとCIBONEだけにしてます。考え方など、お互いに共感できるところにだけ置いていただいています。それは、長くやっていきたい。という思いが強いんです。

どうしても、流行的なプロダクトになってしまうと、消費されてしまって、行き着くところまで行き着くと、廃れてしまう。そうなることは避けたい。

キャンドル。いえいえ暖炉。

さて、今後のNewLightPotteryについてお聞かせください。

最終的にはキャンドルとかやってみたいんですよね。

それはまた驚きです。

そうですよね。ただ、今でこそLEDや蛍光灯ですけど、電球できる前は、灯りはキャンドルだった。そう考えると灯りと言うカテゴリーの中ではありなのかなと。
あと、煖炉ですね。

暖炉!それは何故なんでしょう

この小屋(ギャラリー)を作った時に暖炉入れたんですけど。
やっぱりいいんですよ。見てて落ち着きます。

なるほど。今後が楽しみです。

心地よい空間を作ることに、灯りというアプローチで関わっていきたいですね。
その中でメーカーとしてプロダクトを作るのは、商業照明のプランナーとは違った面白さを感じてます。店舗だとOPEN時点が最高点で、閉店してしまったらすべてなくなってしまう。これが、寂しかった。でも、プロダクトは残る。
そんな、いつまでも残る仕事をしてゆきたいです。

Photo by HIROKI KAWATA

EDITOR’S EYE

コンセプトを持たない製品づくり。アノニマス的な立ち位置。日本の伝統的な職人技術をあえて押し出さない。NewLightPotteryの姿勢は、マーケティングデータに基づき、コンセプトを明確にして、売れるものを作る。そんなアプローチに慣れすぎた近頃では、マーケター、製品企画、PR、そういった方々が、発狂しそうな違和感がある。

しかし、そうして生み出された製品が、ヒットしている。その秘密は、”プランナーが作る照明”という、実直ながらも強烈な個性だった。製品の、吊り姿、灯の形、価格、その全てにプランナーとしての見地が反映され、高い精度で表現されている。また、ニュートラルな魅力。高い次元での空間への調和。といった価値観も、プランナーならではの視点だ。

その個性が、いわゆる製品コンセプトよりも、強い軸となり、製品の差別化を実現している。そこへ、永冨さんの民芸品や伝統工芸技術への愛着が、今の空気感にあわせて、絶妙な塩梅で落とし込まれ、唯一無二の魅力を放つ。

マーケティングデータや、トレンドに傾倒した、製品づくりでは忘れがちな、純粋なものづくりへの喜びや敬意を、NewLightPotteryは思い出させてくれるのではないだろうか。そんなNewLightPotteryの灯り。照明好きな方も、そうでない方も一度チェックしてみては。

株式会社 ニューライトポタリー

住所:〒630-0246 奈良県生駒市西松ヶ丘5-18

TEL:0743-20-7229

設立:2015年3月3日

代表:永冨 裕幸

事業内容:照明器具のデザイン、設計、製造及び販売、照明プランニング

 

www.newlightpottery.com/

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