NEXT REAL ep.0004 NEW LIGHT POTTERY Vol.3 僕らがクラフトマンシップを愛するワケ

民芸品の伝統技術を照明器具に

NEW LIGHT POTTERYの照明は日本的なと言いますか、どこか懐かしい魅力を感じるのですが、それはなぜだと思われますか。

実は、インテリアなんかはマスプロダクトも結構好きです。ただ、自分たちが作りたいのはクラフトマンシップを大切にしたプロダクトでした。民芸品がもともと好きだったこともあって、手垢のついた技術が面白いなと。それで、地方の伝統技術を照明に落とし込んだりしています。

Photo by HIROKI KAWATA

Kintsugiは割れたり欠けた陶磁器を漆で接着し、接着部分を金で装飾する日本古来の修復技術である「金継ぎ」を使った照明

この金継ぎされたシェードなんかも面白いですね。

Kintsugiのシェードは磁器製なのですが、多治見で焼いた磁器を一度割って、漆で接着し、金で装飾してます。日本古来の焼き物の修復技術。金継ぎを照明で挑戦してみました。

継ぐためには、当然、磁器のシェードを割る必要があります。それで、磁器屋さんに割れやすくしてくれ。と頼んだら、無理です…と。割れにくくするのが仕事ですから! と、怒られてしまいました。(笑)

ある意味で、職人泣かせといいますか。

そりゃそうだよな。とおもいつつ、協力してくれる工房をさがしました。ようやく「面白い。」とわかってもらえる工房をみつけて、焼いてもらえました。今度は、綺麗に割れるように家で何度も試行錯誤。製品化した今でも、バラバラに割れるときと、あんまり割れないときと、様々なんですよ。細かく割れたら継ぐ箇所が多くて大変で。(笑)

価格は一緒なんですけどね…。

一つ一つ割ってます

Photo by HIROKI KAWATA

そう聞くと、継ぎ箇所の多いシェードを選びたくなるような気がします。(笑)
同じ割れ方のシェードは二つと無いわけですよね。

そういう1つ1つ違いが出る。そんな揺らぎを表現したかった。乾かす時も、少し歪みが出るようにしてます。綺麗すぎるものよりも、人の手も感じる製品に仕上げたいんです。

秘伝の"黒"で染める

こちらの金属製のシェードのブラックも趣のある色をしてますね

このブラックは富山の仏壇職人に頼んで、染料をバーナーで焼き付けしてもらってます。うなぎのタレのように、継ぎ足し継ぎ足しで作られる染料で染められてて。その職人さんしかできない。息子さんですら、できない技術だそうです。なので、職人さんが体調崩された時は、欠品が続きました。それでも、この技法で黒染めすると、独特の風合いが出るので、お願いしてます。

Photo by HIROKI KAWATA

Bullet round shade / black
真鍮鋳物で製造しマシニングで仕上げ、1点づつ職人が、漆などの自然素材を調合したものを擦り込み、焼付けを施すことで独特のムラを生みだしている。使いこむと経年変化で下地の真鍮の色が浮き出て、色味が深まるそう。

Photo by HIROKI KAWATA

同じく黒で仕上げられた製品たち

大量発注すると怒られる!?

出てます。黒の存在感。
その裏には、職人さんのストーリーや伝統があるんですね。
こちらのソケット部分にも秘密があると聞きました。

このソケットの磁器部分は、磁器に顔料を練りこんで作る製法。瀬戸で70歳を超えるおじいさんが、大きなすり鉢で練りこんで制作しています。だからあんまり、大量に注文すると、怒られるんですよ。(笑) なので体調をきにかけながら、発注してます。

Photo by HIROKI KAWATA

Digdug suspension(ディグダグサスペンション)
釉薬をかけずに焼成した白の磁器ソケットと顔料を練り込んだ茶色の磁器ソケット、木のパーツ、鎚目の入った真鍮板を地層のように重ねた吊り式の照明

プロダクトと人間の関係性

体調に気を使いながらの発注。そこにも、人の手を感じます。
さらに、使い手の”手”を意識してやっておられることがあるとか?

はい。真鍮の照明とかは、普通クリア塗装をするのが普通です。ですが、あえてクリア塗装をしてないんです。だから、指で触れるとこんな風に汚れる。それがそのまま風合いになっていくのもいいと思います。1つだけのものになっていく感じが。

綺麗に保つには手入れが必要ということになりますか。

そうですね。ただ、そうやって手をかけることで、思い入れが深くなることもあるかなと。プライベートでバイク乗るんですけど、結構手入れが必要で。ただ、自分で手入れして乗って、また手入れして。やってるうちにかわいくなってくる。

そんなプロダクトと人間の関係性がいいなあと思って、あえて、手入れが必要な余白を残しています。

NEXT REAL ep.0004 NEW LIGHT POTTERY Vol.3 僕らがクラフトマンシップを愛するワケでは、日本の伝統工芸技術を照明器具に落とし込む理由。職人とのコラボレーションの様子にフォーカスしました。Vol.04では、NewLightPotteryが照明をつくるインスピレーションの源とは何か?に迫ります。
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株式会社 ニューライトポタリー

住所:〒630-0246 奈良県生駒市西松ヶ丘5-18

TEL:0743-20-7229

設立:2015年3月3日

代表:永冨 裕幸

事業内容:照明器具のデザイン、設計、製造及び販売、照明プランニング

 

www.newlightpottery.com/

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